展覧会
「春望」

展覧会
「春望」

2024年12月7日~12月22日
The Terminal KYOTO
京都府

作家:方 巍、UMA、宙 宙、谷川美音、山口遼太郎
キュレーター:金澤 韻
プロジェクトマネージャー:増井辰一郎
助成:京都府、京都市(京都府文化力チャレンジ補助事業、京都市「Arts Aid KYOTO」補助事業)
協力:王一
キービジュアルデザイン:大西正一

  • キュレーション|企画
  • 執筆

日中のアーティストでコロナ禍を振り返る自主企画プロジェクト

コダマシーンは、自主企画を通して社会とアートのつながりを再考するとともに、新たなコラボレーションのための種を育んでいます。「春望」では、上海ロックダウンの体験をきっかけに、日中の現代美術家5名のアートを通し、不確かな世界の中に在る私たち自身について、オーディエンスとともに考えることのできる場を作り上げました。キュレーター金澤による日記的な文章を会場の各所に配置するなど、自主企画ならではの実験的な展示方法を取り入れ、展覧会のテクネー(技術)を革新する試みも行っています。

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ロックダウンにより社会が一変したとき、私たちは何を感じたのか。不確かな世界で、山河の中に小さな自分を見つめ直す——。金澤韻がキュレーションを手がけた、コロナ禍での体験をオーディエンスと共に振り返るための自主企画。社会のなかでアートが果たすべき役割を探ります。方巍(絵画)、UMA(パフォーマンス)、宙宙(インスタレーション)、谷川美音(漆芸)、山口遼太郎(陶芸)が参加し、上海でのロックダウンの日々を綴った金澤によるエッセイも展示しました。

(展覧会テクストより)

2022年4月から5月にかけて、上海では厳しいロックダウンが行われ、私たち家族と方巍・UMAの家族はそれに巻き込まれた。2500万人が家から出られず、全ての店舗が閉まり、輸送が麻痺した。感染者とその周囲の厳格な隔離と居住空間の消毒により、市民のふだんの暮らしは根底からおびやかされた。

その後、方巍・UMAは2023年の春、奈良に子供達を連れて引っ越してきた。また私たち夫婦も猫2匹とともにやはり同じタイミングで京都に移住した。この展覧会の企画はこの二つの家族の個人と社会をむすぶ関係性を眺めるところから出発している。

政治や社会を形づくったのは神でも鬼でもなく、私たち人間である。健やかに生きようとさまざまな取り決めをし、自分たち自身を縛ったのだ。それがうまくいかない時には、少し引いて自らの生を見つめてみるしかない。だからいま、この展覧会を通して、私たちをもっと大きな環境——自然や長い時間といったものの中で相対化してみようと思う。

杜甫の「春望」を思い出す。戦のあと山河は変わらずそこにあり、荒廃した都にはうららかな春が満ちる。この展覧会がひとつの“山水画”の展覧会として構想されたのもその理由からだ。方巍・UMAのほか、谷川美音、山口遼太郎、宙宙、敬愛する3人の作家たちに参加を呼びかけた。彼らの作品は遠くから、また近くから、人間たちを包む自然や環境を見つめている。

上海ロックダウンの私自身の記録である「春望日記」も、この展覧会の片隅に置いておく。そのあとがきにも書いたのだが、「そんなことがあったんだね」と一瞬でも思っていただいて、ご自身と周囲の大事な人たち(&生き物たちと)の時間を改めて想っていただけたら幸いである。

キュレーター

金澤韻(コダマシーン)