展示
「Looking at Something」
ラファエル・ローゼンダール
展示
「Looking at Something」
ラファエル・ローゼンダール
2023年
Art Collaboration Kyoto, 国立国際会館
京都
アーティスト:ラファエル・ローゼンダール
クライアント:株式会社エディオン
キュレーター:コダマシーン(金澤 韻+増井辰一郎)
オフィシャルパートナー:株式会社マルニ木工
特別協力:Takuro Someya Contemporary Art
制作:Twelve Inc.
モニター提供:株式会社エディオン、ソニーコンスーマーセールス株式会社
撮影:顧 剣亨、松見拓也
- アートコンサルティング
- キュレーション|企画
- マネジメント|コーディネーション
クライアント企業の事業性に呼応した現代アート展示を企画・プロデュース
京都アートフェア Art Collaboration Kyoto(ACK)2023 において、リードパートナー企業 株式会社エディオンのブース展示を企画・プロデュースを担当しました。
家電量販店であるクライアントの事業と親和性の高い作家として、インターネットから発想し芸術的活動を行っている作家、ラファエル・ローゼンダールを提案。「アートはガスや液体のようにあらゆる場所に現れる」という彼の思想を、リビングルームにあふれるアートのインスタレーションとして構成を考え、作家と協力しながら、設計、制作管理までコダマシーンが主導しました。美しい家具は、日本を代表する家具メーカー・マルニ木工よりご提供いただきました。
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ラファエル・ローゼンダール《Looking at Something》Rafaël Rozendaal’s Looking at Something powered by EDION
インターネットが包含する無限ともいえる時空間に触発され、ラファエル・ローゼンダールは、2000年ごろから明快なグラフィックによる動く絵画作品をネット上に発表しはじめました。コードによってリアルタイムに生成される泉のようなアニメーションは、特定の地域や年齢層などに意味内容を限定することなく、より普遍的なイメージとして、私たちにフレッシュな驚きと瞑想的感覚をもたらします。
PCのウィンドウ、タブレットやスマートフォンやモニター——どんな形のスクリーンにも合わせて現れるその作品は、「ガスや液体のようなもの」と彼自身がたとえるように、常にそこにあっていろいろな時と場所で姿を現すという彼の芸術上のコンセプトをよく表しています。そのアイデアはまた、2010年代より開始したレンチキュラーなどのフィジカルな作品、また言葉の芸術である俳句など、ローゼンダールの多岐にわたる活動にも反映されています。
NFTという形で広く知られるようになるずっと前から、ローゼンダールはデジタル作品の所有について考えてきたコンセプチュアル・アーティストでもあります。彼のホームページで公開されている作品は、販売され所有者が定まった後も、ネットにつながってさえいればアクセスできます。作品内に表現された無限の時空間は世界中に広がり、芸術を楽しむ人々の手元にまで届けられているのです。
Art Collaboration Kyotoでは、私たちが日常の中で時を過ごすような空間に、ローゼンダールのウェブサイト作品とNFT作品が姿を現します。このインスタレーションを通じて、ローゼンダールは、気がつきさえすれば、いつもそこに芸術はあるのだと語りかけています。
(Text by 金澤 韻)
ラファエル・ローゼンダール
1980年オランダ生まれ、ニューヨーク在住。ネット・アート・シーンのパイオニアであり、インターネットを仕事の場所として、またキャンバスとして使う。ウェブサイト作品で世界的な注目を集めたのち、”ユニバーサル・ライブラリー”としてのインターネットを創造的に応用し、レンチキュラー・ペインティング、タペストリー、ウェブ・インスタレーションなど、デジタル作品を物理的な世界へと超越させてきた。近年は、NFTという形でも作品を発表している。2018年に十和田市現代美術館(青森)で初の美術館個展「GENEROSITY 寛容さの美学」、2023年にドイツ、エッセンのMuseum Folkwangにて大規模個展「Color, Code, Communication」を開催。その他、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、ポンピドゥ・センター(パリ)、ドルトレヒト美術館(ドルトレヒト)、クンストハル美術館(ロッテルダム)、ステデリック・ミュージアム(アムステルダム)、アーマンド・ハマー美術館(ロサンゼルス)といった世界の主要美術館で作品を発表。著書に『Home Alone』(Three Star Books)、『Everything, Always, Everywhere』(Valiz)がある。