展覧会「修復の練習」
展覧会「修復の練習」
2024年5月17日~6月1日
The Terminal KYOTO
京都府
地域
作家:播磨みどり、猪原秀陽、佐々木萌水、𡧃野湧、山本高之
主催:オールマイノリティプロジェクト(代表 大島郁葉)
企画・執筆・キュレーション:金澤韻
企画協力:増井辰一郎
タイトル英訳:福原智子
翻訳:和田太洋
メインヴィジュアル:中家寿之
ハンドアウト&キャプションデザイン:小澤亜梨子
展示設営:櫻岡聡、熊谷卓哉、米村優人、村上美樹、柯琳琳
- キュレーション|企画
- 執筆
発達障害研究と連動し、他者との関わり方を再考する展覧会を実施
発達障害研究の専門家グループであるオールマイノリティプロジェクトからの依頼を受け、「壊れたものを修復する」という観点から他者とのコミュニケーションを再考する展覧会を企画・実施しました。発達障害研究と現代美術の極めて先進的なコラボレーションです。展示期間中には、アーティストと研究者によるクロストークも実施し、展覧会やトークイベントといったさまざまなアプローチを通して、マジョリティとマイノリティが共存する社会について考えるための機会を設けました。
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「オールマイノリティプロジェクト」は発達障害者をはじめとするマイノリティが、社会的孤立・孤独に陥らないフェアな社会の実現を目指す研究開発プロジェクトです。当プロジェクト2025年度シンポジウムに連動し、築92年の京町家建築 The Terminal KYOTOにて、他者とのコミュニケーションや関係性の再構築に着目した展覧会を開催。本展では、「壊さない」ことよりもむしろ、「壊れたものを修復する」ことの大切さに心を寄せる現代美術家の作品を展示し、分かり合えなさを共に超えていくための視点を提供します。
(メッセージ)キュレーター 金澤韻より:
「さまざまな特性を持って生まれ、いろいろな環境で育ち、それぞれの日常を生きるわたしたち。みんな、できること/できないことを抱えています。自分が当たり前にできることを他の人に当てはめると、時に誰かを傷つけます。逆もしかりで、多くの人が当たり前にできることができないとき、あなたは時に傷つけられてきたでしょう。
「こうであるはず」という思い込みが問題です。でも、思い込みの外側をあらかじめ想像するのは難しい。わたしたちはどうしても傷つけ合うことになります。
とはいえ誰かをレスキューすることはできるかもしれません。いえ、もうやってきているかもしれません。うまくくっつかなくても努力だけはしてきたかもしれません。
この展覧会では、バラバラのものをつなぎ合わせることを題材にした現代美術作品を展示します。そうして、壊れない・壊さないことより、壊れたものを修復することを考えてみたいと思います。」
オールマイノリティプロジェクトについて
オールマイノリティプロジェクトは、マジョリティ(たとえば、「(日本における)日本人」、「男性」、「健常者」、「異性愛者」など)の価値観や規範についての暗黙の了解を前提とする今日の社会のありかたに向き合う研究開発プロジェクトです。その目的は、マイノリティ(たとえば、「(日本における)日本人以外の国籍を持つ人」、「女性」、「障害者」、「LGBTQIA+」など)の価値観や規範への理解を補助すること、そして、マジョリティとマイノリティが互いに差別や偏見を抱くことなく共存できる社会基盤を作ることです。本プロジェクトは、マイノリティとして発達障害者を取り上げ、マジョリティから発達障害者に向けられた差別や偏見を調査する「実証研究」、実証研究のデータを踏まえて差別や偏見の軽減・解消を支援する「アプリ開発」、開発されたアプリの活用と発達障害者以外のマイノリティへの展開をすすめる「社会実装」の3つの内容から構成されています。
出展作家
播磨みどり(はりま・みどり)

1976年 横浜市生まれ。印刷メディアとそれにまつわる経験をベースに制作を行う。様々なメディア上に溢れるイメージの白黒コピーで作られた紙の立体やインスタレーションに加え、近年は、版画のプロセスやシステム、その相対的な在り方を使った身体の移動や移行による視点やアイデンティティの複数性について考察しながら、作品と作者の非中心的、非絶対的な在り方の可能性について模索している。近年の主な個展に「This Is A Mirror」(The Shirely Fiterman Art Center、ニューヨーク、2023年)、「裏側からの越境」 (藤沢市アートスペース、藤沢、2022年)、近年の主なグループ展に「PAPER: かみと現代美術」(熊本市現代美術館、熊本、2022年)、「Lyrics, Gestures and Games」(Kala Art Institute、バークレー、カルフォルニア州、2017年)など。
猪原秀陽(いのはら・ひではる)

1985年埼玉生まれ。漫画家。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。著書「We’re バッド・アニマルズ」(ビームコミックス)。「オールマイノリティプロジェクト」ウェブサイトにて、発達障害当事者の視点を表現した漫画を発表。主な個展「漫画の木彫り」(MAT、東京、2023年)。
佐々木萌水(ささき・もえみ)

1991年北海道生まれ、京都府在住。漆作家。京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻漆工修了。過去から未来へ向かう人の営みや時間の連続性に焦点を当て、近年は京都市内を流れる川から採集した陶磁器片を漆で繋ぎ合わせた金継ぎや呼び継ぎなどの作品を制作する。主な個展に「街の貝殻」(ROD GALLERY、東京、2024年)、グループ展に「Kyoto Art for Tomorrow 2024 -京都府新鋭選抜展-」(京都文化博物館、京都、2024年)など。
𡧃野湧(うの・ゆう)
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ワレモノとしての陶磁に着目し、あえて破損や経年変化を取り入れながら作品を制作する。文化や美術の歴史における保存の在り方を念頭に、ものの存在やものへの触れかた、その遺し方についての新しい視点を提案する。主な発表に個展「呼び戻されるフレーク」(GALLERY crossing、岐阜、2024年)、「われてもすえに・その後1」(LAD GALLERY、名古屋、2022年)など。
山本高之(やまもと・たかゆき)

子どもの会話や遊びに潜在する創造的な感性を通じて、普段は意識することのない制度や慣習の特殊性や個人と社会の関係性を描き出してきた。近年は地域コミュニティと協働して実施するプロジェクトや、一般を対象としたオルタナティヴなアートスクール・プログラムにも取り組んでいる。ロンドン大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを修了。国内外の展覧会参加多数。個展「Children of men」(アートラボあいち、愛知、2017年)、「どんなじごくへいくのかな」(角川武蔵野ミュージアム、埼玉、2025年)。国際芸術祭「あいち2022」(愛知、2022年)ではラーニング・キュレーターを務めた。






















